大学生から小学生まで、4人のお子さんの子育てをしながら、「自分の好きなことを仕事に」との想いで起業した児玉さん。アロマの良さを伝えるため、プライベートサロンを拠点として教室にトリートメントに、商品開発にと挑戦を続ける彼女の仕事や子育てに対する想いをうかがいました。
児玉さんのヒストリー
1972年 | 松山市生まれ |
1995年 | 松山大学卒業後、NHK松山放送局に キャスター・リポーターとして採用される |
1999年 | 結婚、妊娠を機に退職 |
2000年 | 第1子出産 |
2002年 | 第2子出産 |
2005年 | 第3子出産 |
2011年 | 第4子出産 |
2013年 | NARDアロマテラピー協会 アロマ・アドバイザー取得 |
2014年 | AEAJアロマテラピーインストラクター取得 |
2015年 | アロマテラピールーム ひまわり(AEAJ認定教室)開業 |
2016年 | AEAJアロマセラピスト取得 |
2019年 | AEAJアロマブレンドデザイナー取得 |
アロマに出会ったきっかけとは?
初めてアロマを使ったのは、キャスターとして仕事を始めた頃でした。イギリスから日本に入ってきたアロマがちょうど広がり始めた時期で、自分自身のリラクゼーションとして使っていたんです。その後、職場で夫と出会い、入社5年目で結婚。子どもを授かったことを機に退社し、子育てが始まってから夫の転勤で大阪へ。その後6年間の大阪生活時代に2人目、3人目も産まれ、育児に専念しているなか、子どものために食べ物に気を遣う意識が芽生えてきました。安心な食材を求めるようになると、次は洗剤や化粧品などの生活アイテムも気になりだして…。メイクをした顔で赤ちゃんに頬ずりできないなって思ったんです。
いろいろ思案していたとき、化粧品が手づくりできるという本に出会い、化粧水やリップクリームもアロマを使ってつくることができると知ったんです。そこから再び積極的にアロマを使うようになりました。
そこからお仕事としてやっていこうと思われたのは?
模索しながらアロマをやっているときに、フランスやベルギーなどヨーロッパではアロマテラピーを補完療法として使っていることを知ったんです。頭が痛いときなど、適した香りをちょっと吸ったり、薄めて塗ったりすると和らぐ効果が期待できる。好きな香りに癒やされるだけでなく、お薬と同じような働きをすると知って、「この使い方をもっと深めたい、勉強したい」と思いました。 そして、次に仕事をするなら、自分の好きなこと、得意なことを生かしたかったんです。アロマテラピーには自分も救われてきたので、いつかお仕事につなげたいなと考えていました。
松山に帰ってから、3人の子育てと並行して、主人にも協力してもらいながらNARDアロマテラピー協会の講習に通いました。そしていよいよアドバイザーの試験を受けよう!と思った矢先、4人目の妊娠がわかったんです。出産準備や先のことを考えながら勉強するのはどうしても難しくて、そのときは一旦断念しました。
そこからどのように起業へと向かっていったのでしょうか?
4人目を出産して2年ぐらい経って、再び試験を受ける機会があったんです。今しかない!と思い受験し合格したことで、またアロマをやりたい気持ちがむくむく芽生えてきて…。手づくりコスメのワークショップやアロマ講座など、少しずつ趣味を超えた範囲の活動をしながら、仕事として取り組む準備を始めました。
起業するにあたって、自分がアロマをどんなふうに伝えていきたいか、改めて考えてみたんです。アロマって気軽なものだから、間口は広く、敷居は低く。私が香りで癒やされたように、まずはそこを知っていただきたいという方向性に決まりました。そして日本の中でも安心安全なアロマの使い方を広めている公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)のスクールに通い、AEAJアロマテラピーインストラクターの資格を取得しました。
4人のお子さんを育てながらの起業、よく決断されましたね。
むしろ、子どもが4人いるから起業しようと思ったんです。4人の子育てをしながら働くためには、自分でスケジュール調整ができる自営業しかないと思ったから。欲張りですが、「自分が好きなこと・自分がやってきたことを生かした仕事をしてお金をいただいて、さらに学びを深めながら周りの人や世の中の役に立ちたい。そんな働き方をしたい」と、そう思って起業しました。
ですが、当初はなかなか大変でしたね(笑)。松山に家を建てたばかりでしたし、夫は東京に単身赴任中、末娘はまだ幼稚園に通っていました。まだまだ学びたいこともあったので勉強と同時進行でしたし、家庭とのバランスを考えないといけない状況ではありましたが、退路を断つ覚悟で開業届を出しました。細くてもいいから“絶対に辞めずに続けよう”という思いでした。
専業主婦から起業女子への転身、憧れる方は多いと思います。
私は前職をスパッと辞めて子育てに専念していたので、そのときは“自分のためだけの時間”がなかったんです。もちろん喜びや楽しさはありますが、常に誰かのための時間。だから試験を受けるための勉強でさえ、すごく楽しかった。好きなことを学べる時間ってこんなに幸せなんだと。家族のための時間を10年過ごしてきたからこその喜びです。
起業当初は、専業主婦だった私が趣味レベルでやってきたことでお金をいただいていいのかという葛藤がありましたが、あの時間にこそ意味があったんだと今なら言えますね。楽しみながら季節の食べ物を大切にして、洗剤や化粧品にもこだわって家族の幸せのためにやってきた経験が強みになっています。 また、キャスターとしての経験も講師業に随分生かされていると感じます。だから、全てのことに意味があるんだなって、思うんですよ。
ご家族のサポートについてはいかがですか?
うちの旦那様は本当に忍耐強いと思います(笑)。起業をして数年間、なかなか利益に結びつかずしんどいときも、文句ひとつ言わず見守ってくれましたから。一番応援してほしい家族に理解してもらっているというのは、本当にありがたいことです。
社会人一年目から一緒に取材したり番組をつくったりしていた結婚までの5年間、大好きなキャスターの仕事に情熱を燃やしてきたこと、そして子どもが産まれてからは家族のためにやってきた私のことを知っているから、今の仕事のことも何も言わずに応援してくれているのだと思います。ですから、時には「ありがとう」って口に出して伝えるようにしています。面と向かっては照れ臭くてなかなか言えませんけどね(笑)
今後のビジョンを教えてください。
今後は商品開発に取り組みたいですね。これまでに出会った素晴らしい愛媛の自然の香りをより多くの方に伝えるために、アロマセラピストの私だからできる県産アロマの価値創造に努めたいと思っています。国産精油の良さを知って、愛媛の杉、檜の精油との出会いから県内産に着目して、ブレンド精油の商品づくりをしていく中で、「やっぱり私ってものづくりが好きなんだな」と改めて実感しました。キャスター時代、カメラマンや音声さんなど技術職の人とみんなで番組をつくりあげていく感じを思い出しました。
また、愛媛産精油を使って店舗や企業への空間プロデュースもめざしています。香り文化が広まっている今こそ、香りの演出は重要。精油は植物からとれた天然の香料であり、国産の精油は年代を問わず日本人になじみやすい香りです。だからこそ、本当の自然の香りを今後は広めていきたいですね。
タイムスケジュール
6:30 | 起床・朝食 家事 |
9:00 | 仕事の準備 |
10:00 | アロマ基礎講座 |
13:30 | 昼食 |
14:00 | 仕事(事務作業) |
17:00 | 子どもたちのお迎え |
17:30 | 買物・子どもたちの習い事の送迎 |
18:30 | 夕食・家事 |
20:00 | 入浴 家事 |
23:00 | 仕事の準備 |
24:00 | 就寝 |