輝くあの女性のように 第11回

自然派食堂 Vegetable 店主 山岡 有紀子さん

2017年6月、三津浜商店街に「自然派食堂 Vegetable」をオープンした山岡さん。子育てを通して、暮らしの大切さに気付いたという彼女がお店を開いたきっかけ、そして子育てに対する想いを伺いました。

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山岡さんのヒストリー

1971年 大阪府生まれ
1990年 大阪の高校を卒業後、上京。
東京で飲食店の接客業など様々な仕事を経験。
1999年 結婚、長女を出産。
2003年 愛媛県内子町に移住、次女出産。
2006年 三女出産。
2012年 夫の故郷である興居島に移住。
2017年 自然派食堂 Vegetableを開業。

東京から愛媛へ、移住のきっかけは?

東京で長女を出産し、家族3人暮らしていたのですが、娘は体が弱かったので、「田舎で子育てしたいな」と漠然と思っていました。ちょうどそのころ、私自身手づくりにハマっていたんです。市民農園を借りて夫婦で野菜をつくっていたのですが、もぎたての野菜が本当においしくて……。改めて、暮らしを大切にしていく生き方を知りました。もともとはあまり食にこだわりがなく、居酒屋大好き夫婦だったので、この心境の変化はやっぱり子どもの存在がとても大きかったです。
移住に関する情報をインターネットで探し、最初に移住したのは内子町。当初、四国に住む気は全くなかったのですが、愛媛県が夫の地元ということで、いつの間にか決まっていました(笑)。長女が4歳、次女がまだお腹にいるときでした。

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田舎での子育て、振り返ってみていかがですか?

移住した先が山のほうだったのですが、毎日のように子どもと自然の中で遊びつくした記憶がよみがえります。そこでも畑で野菜を育てていたので、一緒に栽培したり、川に行って遊んだり。高校3年生になる長女が「あの頃は楽しかったなぁ」と今でも話すことがあり、私も思わずうるっときてしまいますね。
子育てとしては、子どもたちが小さく一番大変な時期でしたが、とにかく楽しかった思い出ばかりで。もう10年以上も前になりますが、山での生活は、宝物のような時間です。

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食堂を開こうと思ったのはなぜですか?

内子の家の老朽化が進んでいたこと、そして将来的に松山市内に住む夫の両親の介護なども視野に入れ、5年ほど前に夫の故郷である興居島に移りました。そこで、夫は宅配農家を始めました。自分で育てた野菜をお客様に宅配する、個人経営のこじんまりしたものですが、野菜がたくさんできたときなどは余ってしまうのでもったいないなと思っていたんです。10数年の主婦業で私はすっかりお料理が好きになっていたので、夫が育てた野菜を自分で調理して直接提供できないかなと考え始めました。
最初は月に1回営業のお店から始まり、次に週に1日のシェアカフェに挑戦しました。そして、三津浜商店街の空き店舗を貸し出す「三津浜地区チャレンジショップ」の存在を友人から教えてもらい、「自然派食堂Vegetable」をオープンすることができたんです。

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お店をはじめたことで、大きく変わったことは?

人との出会いが一番ですね。専業主婦の頃では考えられないくらい、お店をやっていると「人と人がどんどんつながっていくなぁ」というのを強く実感しています。
また、店をすることについては、夫もひっそりと応援してくれています。子どもたちも私の仕事に理解を示してくれているので、ありがたく思っています。今のお店では、小学生の末っ子がたまに手伝ってくれています。お皿洗いなど率先してやってくれるので、その働きっぷりにお客さんが感心してくださって。家ではあまりやらないんですけど、お店では働かなきゃという気持ちがあるのかな(笑)。でも、そうやって仕事をしたり、お店でいろんな方に声をかけていただいたりというのは、彼女にとってとてもいい経験になっていると思います。

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山岡さんの「これから」についてお聞かせください。

今は仕込みの時間は週に2~3日友人に手伝ってもらっていますが、それ以外は一人でできる範囲で営業しています。ありがたいことにお客様がコンスタントに来てくださるので、これからどうしていくか…、人を雇うことも視野に入れつつ考えているところです。チャレンジショップは3年間の期間限定なので、その中で、出来るかぎりいろんなことに挑戦したいと思っています。「自然派育児トーク会」などのイベントを行っているのですが、ゆくゆくは料理教室もしていきたいですね。興居島の畑でもぎたてを調理する、青空料理教室も良さそう!
うちは「自然派食堂」と謳っているので、野菜やお料理、丁寧な暮らし方が好きな方が来てくださることが多いのですが、みんなが自由に集える場所にしていきたいです。

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タイムスケジュール

5:00 起床
子どもたちのお弁当作り、朝食。
7:30 出勤
興居島から三津浜のお店へは、船を利用して約30分。
8:00~11:00 仕込み
買い出しをして、仕込みに入る。野菜を使ったおかずも一つひとつてづくり。素材の滋味を活かし、最小限の調味料で仕上げます。
11:00~17:00 お店の営業
営業中は1人でお店をまわしています。セルフサービスで無理なくできるよう整えています。
17:00~20:00 店の片付けをして帰宅、家事
閉店後、片付けをして帰宅。夕食の支度をして、家族で食卓を囲みます。
20:00~22:00 家事、自由時間
残りの家事を済ませ、家族のコミュニケーションタイム。
22:00 就寝

これから「ハタラク」あなたに、山岡さんからのメッセージ

3人の女の子の子育てをしてきましたが、今振り返って思うのは、「子育てできる時間は素晴らしい」。それは宝物のような時間なので、一瞬一瞬を大切にしてほしいと思います。その上で、ぜひ自分がやりたいことも大切にしてほしい。子育ては子ども主体ですが、仕事は自分主体で動けること。だから、子育てとはまた違う楽しさがあります。何かを始めるときは勇気がいりますが、人生80年といわれる今だからこそ、若いうちのキラキラした時間を大切に!後悔しないよう、やってみたいことがあれば、チャレンジしてみるべきだと思います。
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無農薬野菜を使用した、体が喜ぶ手づくりごはんを提供しています。

自然派食堂 Vegetable

愛媛県松山市住吉1-5-15
営業時間/11:00~17:00頃
定休日/日曜、月曜