三津浜で行列のできるベーカリーカフェを経営する小池さん。子育てや介護に追われながらも、「夢を諦めたくない！」と頑張っている彼女の「これまで」と「これから」についてお話をお聞きしました。
小池さんのヒストリー
| 1972年 | 伊予郡松前町生まれ |
| 1990年 | 聖カタリナ高等学校看護科卒業後、看護師として働く。 |
| 2004年 | 結婚を機に、病院を退職、専業主婦となる。 |
| 2005年 | 長男を出産。 |
| 2008年 | 長女を出産。前後して義母の介護が始まる。 |
| 2011年 | N’sKitchen**&laboを開業。 |
看護師さんからベーカリーカフェ店主に転身した理由は？
結婚を機に看護師を辞め、家庭に入りましたが、それまでの時間に追われる日々からすごく時間に余裕ができて。当時、ホームベーカリーでパンをつくるのが流行っていて、じゃあ、パンでも焼こうかしら、と思ったのがきっかけ。もともと凝り性なので本やインターネットでレシピを調べて、毎日のように焼いていました。やがて、友人を招いて「おうちカフェ」をし始めて、イベントにも出店するようになったんです。お陰さまで、私のパンを待っているかたも増えてきたときに、三津浜ですごくいい土地を見つけて、店を構えることになりました。
開業時は、子育てとお義母さんの介護で大変な時期…
そうなんです。夫の母が脳出血で倒れて、想像していたよりも早い介護生活が始まっており、子どもたちもまだ小さいという本当に大変な時期。マンションの限られたスペースで、私も家族もかなりストレスを抱えていました。私はそのストレスをパンづくりにぶつけたりもしていましたが、やっぱり子どもや義母が気になり集中できません。子どももストレスが体調に出るようになり、「何とかしたい！」という一心で、「広い場所に店と自宅をつくろう」と思い立ったんです。友人からは「もう少し後でもいいんじゃない？」と言われましたが、一番しんどい今始めれば、少々のことは乗り越えられるんじゃないかと心を決めました。
三津浜という土地を選んだのはなぜですか？
夫は興居島の出身で、義母も病気になる前は興居島で暮らしていました。少しでも島に近い場所にしたいと思い、三津浜や高浜近辺で土地を探しました。そうしたら運良く、元金物屋さんの建物が空いていました。ここは土地がすごく広くて、建物はキッチンと店舗と住まいをとっても充分な広さがあって。夫は「将来は器械体操の教室を」という夢をもっており、裏手で体操教室を開くこともできる点も決め手になりました。でも何より大きかったのは、三津浜に住む方々がとても大らかで、私たちをあたたかく迎え入れてくれたこと。「この場所なら楽しく頑張れる」と思えたのが、最大の理由かもしれません。
お店をオープンし、大きく変わったことは？
最初は週末だけ、パンの販売のみの営業でしたが、徐々に営業日を増やして、カフェや雑貨・インテリアの販売も始めました。慣れてきてから少しずつキャパを増やして、次のステップにいった感じです。設備も無理のないよう拡充していきました。店で一人になれる時間があるせいか、家族に接するときに気持ちの余裕ができ、子どもたちも義母も落ち着いて日々を過ごせるようになりました。店が軌道に乗ったタイミングで、夫も職場を退職し、一緒に店を守り立ててくれています。振り返れば、本当にしんどい時期に開業しましたが、あのときに決断したからこそ、こうやって笑顔でいられるようになったと思っています。
小池さんの「これから」についてお聞かせください。
たくさんのお客様に支えていただいて、家族や友人にも助けてもらって、５年かけてようやくスタートラインに立てた…そんな気持ちです。夫とは共有する時間が増え、忙しいけれどコミュニケーションはより取れるようになったと思っています。また自宅開業ですから、子どもたちにも目配りをすることができます。これからも、これまで同様に無理はせず、ゆっくりとした歩みでいいから新しいことに取り組んでいきたいですね。夢はいろいろあるんです！それを少しずつカタチにしていくことで、お客様をはじめ多くの方と関わっていきたいと思っています。
タイムスケジュール
| 6：00 | 起床 まずパン生地の仕込みをしてから、子どもさんやお義母さんの支度を整えます。 |
| 8：00〜11：00 | 開店準備と家事 お店で仕込み。合間合間で洗濯や掃除などの家事を手早くこなします。 |
| 11：00〜16：00 | お店営業 調理やサービスなどをきびきびと。午後にはお子さんやお義母さんも帰ってきます。 |
| 16：00〜21：00 | 店の片付けと家事 店の片付けを終えたら夕食の支度。食事やお風呂をすませながら、家族でのコミュニケーションタイム。 |
| 21：00〜24：00 | 仕込み 翌日の仕込みや焼き菓子づくりはこの時間に。時には深夜1：00を回ることも。 |
| 24：00 | 就寝 |
これから「ハタラク」あなたに、小池さんからのメッセージ
家庭のある女性が「ハタラク」ときには、体力的にも精神的にも、多少は無理をしなくてはならないと思います。でも、自分をダメにする無理ではなく、自分を成長させてくれる無理をして欲しいですね。私自身、介護と子育てに追われていたときの無理は、精神的にも追いつめられてしまいましたが、デイサービスなどの公共福祉の助けを借りて、その間に私は好きな仕事をする今の無理は心地いいんです。睡眠時間は以前より短いですが、毎日がとても充実しています。
手作りパンと焼き菓子と、古道具＆雑貨のお店です。
N’sKitchen**&labo（エヌズキッチン アンド ラボ）
愛媛県松山市住吉1-3-33
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